「ファシリテーション」山口新聞東流西流2015.4.14掲載

「ファシリテーション」

「トーキング・スティック」というネイティブ・アメリカンの伝統からなる会議手法があります。円形に坐したメンバーの真ん中に、1本の木の棒(スティック)が置いてあり、その棒を手にしたものだけが発言できる権利を有しており、その棒が再び中央に置かれるまでは、誰も棒を持つ発言者の言葉を遮ることはできないというものです。そして発言者が自らの思いをすべて話し終え、棒が中央に戻されると、また次の誰かがその棒を持ち、発言を始める。私が参加した「自分という自然に出会う」ワークショップも、全体がこの思想に貫かれていたように感じます。

ワークショップの進行役「ファシリテーター」を務めたのは、働き方研究家の西村佳哲さんと、ワークショップ企画プロデューサー、当時は博報堂の社員、現在は同志社大学の教授である中野民夫さんのお二人でした。お二人がファシリテーターを務めるワークショップは、私の想像をはるかに超えた「感動」で満たされたものとなりました。

ファシリテーションとは、「寄り添い」「励まし」「ともに歩んでいく」ことです。

現代のまちづくりに必要とされているのは、強いリーダーシップではなく、個々の持つ能力や個性を尊重し、それらを結び付け、寄り添いながら育てていくこと。ファシリテーターが必要とされる所以です。

(下関市、エキマチ下関推進協議会事務局ディレクター 西村 祐一)